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1. アクションにつなげるためのアンケート設計

September 10, 2021 顧客体験

By 内海 雄介(Utsumi Yusuke)

Medalliaではアンケートを取って満足するのではなく、アンケート回答から得られる情報を使ってアクションを起こす部分を重視しています。そのためには、アクションを前提にしたアンケートを設計することが必要になります。良くある間違いとしては、せっかくアンケートを取るのだから、という思いが働き、聞きたいことをできるだけ多くアンケートに盛り込んでしまうということです。そのようなアンケートを作ってしまうと、アンケート回答が有効活用されないだけでなく、回答率が下がってしまい限られた一部のお客様の声しか聞けない、ということが起こってしまいます。

今回のブログでは、アンケートを設計する際に重要な視点を共有させて頂きます。また、別のブログで回答率にフォーカスした内容を共有させて頂こうと思います。(回答率に関するブログはこちら

アンケート全体の流れを設計する まずアンケートの全体像を考えることから始めましょう。原則として、全般的な質問から始め、具体的な質問に進んでいくという構成にします。例えば、顧客体験の全体的な評価(その企業を薦めたいかどうかを聞くNPS設問や総合満足度など)から始めて、その後に、自由記述形式の質問や、顧客体験の細かい項目へと進んでいく構成とします。

また、顧客体験の細かい項目が多数あるのであれば、その順序についても検討した方が良いでしょう。二つの視点で考えることをお薦めしております。一つは時系列順です。例えば、保険業界であれば、見積り→契約→保険金請求といったような流れです。二つ目は重要度順です。例えば、コールセンターエージェントの評価として複数の基準がある場合、重要と思われるものから並べていきます。(例:質問に適切に答えてくれたか→プロ意識が高いか→プラスαの情報を提供してくれたか等)

上記の内容を踏まえ、当社では以下のアンケートを基本の型として使用し、ここから各クライアントとのアンケート設計を初めていきます。

  1. 顧客体験の全体的な評価(NPS設問や総合満足度など)
  2. 全体的な評価の理由
  3. 顧客体験の細かい項目(ドライバー設問と呼んだりもします)

設問の文言を熟考する 私のこれまでの経験から言えることですが、細かな文言の違いだけで、お客様のアンケート回答時の視点が変わったり、スコアについても変動が見られることがあります。設問の文言については、お客様の視点に立ち、また、回答を基にしたアクションを想定して熟考しましょう。まず質問文は単刀直入、かつ、答えやすい質問にしましょう。質問文が2文以上になっている場合は複雑すぎると考えた方が良いかもしれません。後、使用する文言は企業視点の言葉ではなく、お客様視点のものにしましょう。アンケートを検討する中で、どうしても社内のメンバーと相談しながら作成するので内輪の略語や業界用語を使ってしまいます。今一度、お客様の視点になって、お客様が誤解なく理解できる言葉遣いになっているかを確認しましょう。

回答必須にするか否かを検討する 各設問を必須にするか、非必須にするかを検討します。ここでは、分析やその後のアクションにとって不可欠な質問のみを回答必須としましょう。回答必須の質問が多すぎると回答途中での離脱率が高くなったり、回答データの質が低くなってしまうことがあります。お客様が回答できない、回答したくないと感じている場合は、回答を強要するよりも空欄にしておいてもらう方が望ましいと考えます。それでも、やはり必須にしたいという場合は「あてはまらない」を選択できるようにしましょう。人口統計的な属性情報(性別・年齢など)についての質問では「答えたくない」という選択肢が通常用いられます。

できる限りカスタマイズした設問にする お客様一人ひとりの経験に合わせて、できるだけアンケートをカスタマイズしましょう。これによってアンケートの途中で離脱してしまうことを防ぎ、回答率を上昇させることができます。例えば、保険販売員の対応に関するアンケートであれば「販売員の対応はどうでしたか?」ではなく「販売員 内海の対応はどうでしたか?」とできるだけ具体的な設問にします。日付についても「先週」や「先月」といった表現ではなく、具体的な日付を使いましょう。また、設問の聞き方もこの点を考慮すると良いです。当社クライアントの経験から、質問への回答によって後続の自由形式の設問内容を変えると、より具体的なコメントが得られることがわかっています。(例:9点・10点と回答した人向けの自由形式の質問は、0~6点と回答した人向けとは異なる内容とする。)

より詳しく知りたい方は、下記よりベストプラクティス集をご覧ください。

「ベストプラクティス集 – 効果的なサーベイの質問を作成する」をダウンロード

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内海 雄介(Utsumi Yusuke)

シニアマネージャー、プロフェッショナルサービス

日本のプロフェッショナルサービスチームのリーダーとして、日本を始め、東南アジア、韓国のクライアントに対して、顧客体験プログラムの設計、ITプロジェクトマネジメント、顧客体験プログラムに関するコンサルティングを提供。保険業界、通信業界、eコマース業界、製造業など多岐に渡る業界のクライアントに従事した経験を有する。現職の前には、SIer、コンサルティング会社、eコマース会社にて、プロジェクトマネージャーとして10年以上、ITプロジェクトに従事した経験を持つ。シンガポールのナンヤン工科大学でのMBAを保持しており、ITだけでなくビジネスに対する幅広い知見を持つ。